さくらちっぷ

駆け出し同人サークルのブログです

ファンタジーのメガネ

なんらかです.

最近メガネのかけ心地が悪くなってきたなと感じるので,いつ直しに行こうかと迷う毎日です. (眼鏡○場が意外と遠い……)

そんなわけで,今回はメガネについて書いていきます.(どんなわけだ)

メガネの歴史

メガネを語るためには,レンズの知識がかかせません.
記録が残っている中での人類最古のレンズは,紀元前8世紀のエジプトで作られたガラスの凸レンズです.
レンズ自体は,実は紀元前の段階で発明されていたのです.
しかしレンズは拡大鏡(虫眼鏡)として使用されることはあったものの,視覚の矯正器具として使われることはありませんでした.

レンズがメガネとして使用されるようになったのは13世紀ごろからです.
すわなち,メガネは13世紀に発明されたのです.
当時のメガネは遠視の矯正用で,多くの場合は老眼鏡として活用されました.

なお,遠視(老眼)矯正用のレンズは凸型です.
遠視では近くの物体の結像点が網膜より手前に現れるため,凸型レンズで近点を遠くにずらすことで見え方を補正します.

近視の矯正用のメガネが実用化したのは17世紀ごろであったようです.
近視では遠点距離が短くなるため,凹レンズで像を拡大して結像点を手前にずらします.

これらのことから,中世ヨーロッパで使用されていたのは遠視矯正用のメガネだけであったことがわかります.
当時の本は高価なものでしたから,書物の読みすぎで近視をこじらせるのは稀なことだったのでしょうか. (15世紀に活版印刷技術が確立されるまでは,ほとんど全ての書物は手書きの写本で,めちゃくちゃ高価でした.鎖で盗難防止がなされるくらいに高価でした)

ちなみに顕微鏡や望遠鏡が発明されたのは16世紀以降です.
天文学に用いるレンズにはかなりの精度が要求されるため,研磨技術もこのときに発展しています.
ガリレオが望遠鏡を作ったのが17世紀初頭ですから,望遠鏡による天体観測は中世ヨーロッパでは行われなかった(行われていたとしても,かなり小規模だった)ことが伺えます.

メガネの形状

現代のメガネにはガラスだけでなくプラスチックのレンズも使われていたり,フレームやテンプル(ツル)にもプラスチックが使われたりするなど,昔にはない技術がふんだんに用いられています.
しかし時代によって異なるのは,メガネの素材だけではありませんでした.

原初のメガネは,手持ち式のものでした.
その形状もシンプルであり,2つの凸レンズとその幅を調節するネジが取り付けられただけの簡素なものであったようです.
すなわち,当時のメガネはレンズとフレームのみで構成されていたということです.

使う際には手でメガネを持ち,目とレンズの距離を手の位置で調整してピントを合わせました. 現代では考えられない苦労です.

その後,利便性を向上させるために取っ手の棒を取り付けたものなども登場しましたが,耳にツルを引っ掛けて装着するタイプのものが登場するのは17世紀以降でした.
つまり,中世ヨーロッパのメガネとは手持ちタイプの老眼鏡であったということです.

ちなみに鼻に挟んで使う鼻眼鏡(フィンチ)が登場したのは16世紀であったようです.
ファンタジーのメガネキャラが着けてそうなタイプですが,中世ヨーロッパではまだ発明されていなかったようですね.(残念)

ファンタジーのメガネ

これまでの説明で,中世ヨーロッパ風の世界では現代のようなメガネっ子が登場しないという,とてもかなしい事実が明らかになってしまいました.
メガネっ子なのに老眼鏡で,しかも手持ちタイプだなんて,ロマンが欠けているとしか言いようがありません.
いや,それはそれでアリなのですが.(おい)

しかし近視キャラを登場させたいというのも本音です.
メガネっ子は本の読み過ぎで近視をこじらせるのが常なのです.

この問題の解決方法は……見つかりませんでした;;

仕方が無いのです.
凹レンズが発明されると天文学も発達してしまうのですから.(望遠鏡や顕微鏡では対物レンズに凸型を用い,集めた光を凹レンズで広げて人の目で見えるようにしています.)

一応ファンタジー的に考えてみると,近眼補正用の魔法がかかった水晶を使っているとかで誤魔化せそうな気はしますが……
なんだか少し無理やりのような気もしますね.

それよりも私は多機能な遠視矯正用のメガネが登場したりするほうが,ファンタジーなリアリティがあって良いと思います.
水の魔法でレンズの厚みを調節することでピントを調節できるメガネとか,なんだか魔法文明の粋な感じがしますよね.

後は炎魔法で無理矢理に蜃気楼を発生させて地平線の奥を覗き見るメガネとか(もしくは望遠鏡とか),とってもファンタジーで良いと思います.
こうした技術が発展しているとなれば,その世界では凹レンズの発明がなされていても不思議では無いかもしれません.
これでメガネっ子が出せるぞ……!!

しかしこれで凹レンズの問題が解決するとしても,メガネの形状の問題が残ります.
どうすれば非手持ち式のメガネを着けさせることができるのでしょうか?
私にはもうわかりません.

この際,中世ヨーロッパ風ファンタジーのメガネっ子には,みんな手持ち式のメガネを使わせれば良いのではないでしょうか?
それかはめ込み式のモノクルにするとか……悩みますね.

ちなみにフィンチは手元を見るための老眼鏡なので,近視キャラには着けられません.

近視キャラの普段使い用には現代的なメガネが必要になるのでした……完