宿屋
なんらかです.
今回は宿屋について書いて行きます.
ファンタジーにおいて冒険者たちが寝泊まりする場所は「宿屋」であることが多いですよね.
宿屋の一階は酒場で,二階が宿.
駆け出しの冒険者は一部屋4人or6人で,藁敷きの二段ベッドで眠りにつく.
なんともファンタジーな雰囲気です.
では中世ヨーロッパでは,宿屋と言うものはどういったものだったのでしょうか.
そもそも中世ではそんなに旅人が多くなかったので,専業の宿屋と言うものはほとんどありませんでした.
明確な目的を持って旅をしているのは巡礼者くらいです.
専用の宿は,巡礼者向けの修道院程度しかありませんでした.
巡礼者を除くと,旅をするのは学生や行商人くらいだったのです.
宿の多くは食堂を兼ねていて,一階が食堂,二階が宿でした.
現代のホテルや旅館などでは朝食や夕食のサービスがついてくるのが当たり前ですが,当時はそういったサービスはほとんどありませんでした.
夜中などにお腹が空いたら,食事は自分で用意する必要があったようです.
部屋もほとんどが大部屋で,個室はありませんでした.
これは先日の寝具の記事でも書きましたが,中世では複数人で寝るのが当たり前だったのです.
宿によっては性別で部屋がわけられていないこともあったようです.(娼館でなくても,です)
当たり前ですが,当時は男尊女卑社会でした.
女性を保護するような法律も,社会的な仕組みもなかったのです.
こうした宿に泊まった女性がどうなるのかは,現代人でも想像がつきますよね.(そしてそれは多分,現実のものになっていたことでしょう)
さらに言うと,当時はトイレの文化も未発達でした.
仮にあったとしても,男女で別れているということはなかったでしょう.
キリスト教も当時は男尊女卑でしたし,仮に貴族で資金が潤沢でも,女性というだけで大変な思いをすることが多かったのです.
そのため,女性が旅をすることは,それ自体が大変なことだったのです.
ではファンタジーではどうでしょうか.
私の考えとしては,異世界でもやはり似たような環境なのではないかと思っています.
ファンタジーの酒場を想像すると,きっとそこにいる人物の多くは男性なのではないかと思います.
冒険者の大半がこうした酒場兼宿に宿泊しているとしたら,冒険者の男女比率は男性に大きく偏っている事になります.
つまり女性の冒険者は,よほどの腕が立つ人か,個室に泊まれる資金を持っている人に限られるのだと考えられます.
もしくはギルドなどが女性を囲い込んで,建物レベルで男女が区別されるのだと思います.
これらが満たされていない環境で女性が冒険者になるには,6人部屋をパーティーで埋められるような,大人数で行動しなければなりません.
しかし,そんな大人数でパーティーを組むケースは非常に稀だと言えます.
冒険者の稼ぎの多くは,依頼主からの報酬です.
一般にその稼ぎはメンバーで等分にされるはずです.
すなわち,大人数のパーティーでは一人あたりの稼ぎが目減りしてしまいます.
稼ぎの良いパーティーなら良いですが,男から身を守れない,普通の実力しかない冒険者ではまず無理でしょう.
こういった背景が,女性の冒険者が少ないという実態を生み出しているのでしょう.