さくらちっぷ

駆け出し同人サークルのブログです

ファンタジーの街灯と夜店

なんらかです.

最近はなんだか終電帰りが続きます.
そんな帰路の途中,ふと脇道に入り込んでみると,街は暗闇に呑まれていることに気づきます.
街灯の照らさない場所は,一寸先も見えないほどに暗いものなのです.

そんなわけで,今回はファンタジーの街灯について書いてみます.

火の灯り

「灯」の文字には「火」が含まれるくらい,人は原初の照明として炎を利用していました.
さて,たいまつやろうそくは結構な古代から登場している身近な道具です.
ですから,街灯というものが登場したのもかなりの昔であるように思いますよね.

しかし歴史上で実際に街灯が登場したのはどうやら17世紀ごろであったようです.
古代エジプトの時代からろうそくが登場していることを考えると,これはなかなかに遅れた発明のようにも思えます.

ろうそくの街灯の次に登場したのはガス灯です.
明治時代には日本にも到来し,世界中の主要な都市ではガス灯によって夜闇を照らしていました.

ちなみに白熱電球が登場したのは19世紀末です. その少し前にはアーク灯と呼ばれる電気灯が登場していますが,点灯時間の短さや紫外線などの影響から,日常的に常用するものではなくサーチライトなどとして軍事利用されることが多かったようです.

さて少し話がそれましたが,街灯というものがいつ登場したのかはともかく,重要なのは人類が最初に頼った灯りというものは火であるという点です.
試しに暗闇でろうそくを灯してみるとわかると思いますが,火の灯りというものはとてもしょぼいものです.
具体的には,火の元でようやく本が読める程度の明るさです.
ファンタジーの土台となる中世ヨーロッパでは,この程度の灯りしか存在しなかったのです.

夜店の実際

それでもファンタジーには,夜に冒険者を迎え入れる酒場が欲しいわけです.
しかし締め切った酒場で使えるような照明はそもそも存在しませんでした.(屋内で大量の火を炊けば,中にいる人はたちまち一酸化炭素中毒で死んでしまいますからね)

すなわち,当時の夜店で使用されていた屋内照明はかなり小規模なものであるということです.
具体的に言うと,月明かりよりも暗い程度です.
これは当時の夜景の絵を調べるとわかると思いますが,建物から漏れる光よりも月の照らす屋外のほうが眩しく映る様子が描かれています.

夜店と言うものはそれほどの暗さの中で営業していました.
つまり,夜店というものの多くは露天や屋台であったということです.

ファンタジーの街灯

さて,地球史においての街灯というものは火から始まりましたが,ファンタジーではどうでしょうか?
人間を物語の中心に置くのであれば,やはり火は原初の灯りであるように思います.

しかし火以外のものが灯りに使われなかったかと言われれば,それも違うとも思えます.
なにせファンタジーなので,それ以外の発光体があって然るべきだからです.
それこそ光る石があれば,それが灯りになりますから.

光る石以外にも,発光する草花があっても良いでしょうし,そういうものがあれば人類は嬉々として灯りに用いることでしょう.
そうしたものの産地であれば,灯りを用意していなくても夜出歩けるかもしれません.

しかし舞台装置としてそうした灯りを用意した場合,その世界での使用のコストは考慮するべきでしょう.
高度な照明が一般的である場合,そもそも街灯というものがなくなる可能性もあるからです.
自然発光する素材があれば,何も街灯の形にする必要性がありません.
有り余るほどあるのであれば,適当に地面に撒かれているような光景も考えられますよね.

逆に希少なのであれば,一部の都市や店でのみ使用されるかもしれません.
収集に危険性が伴う(例えば魔物の体内で生成されるなど)のであれば,冒険者が優先的に活用できるのも頷けます.
その対価として冒険者の酒場がある,なんてなれば,アウトローのたまり場になるのもわかりますね.