さくらちっぷ

駆け出し同人サークルのブログです

ファンタジー世界の飲酒

なんらかです.

今日はファンタジー世界における飲酒について書いてみます.

まず断言しますが,中世と違い,ファンタジー世界では水代わりに酒を飲む必要はありません.

中世ヨーロッパでは水は硬水しかなかったため,飲用には適していませんでした.

なのでエールやワインを水代わりにしていたのです.

しかしファンタジーでは違います.

仮に地下水は全部硬水であっても,安全な水は魔法で作れば良いのです.

逆に言えば,魔法のある世界でわざわざ麦やぶどうを発酵させるよりも,魔法や錬金術,調合術などで安全な水を作ろうと考える方が自然であるということです.

ではお酒はファンタジーには存在しないのでしょうか?

いやいや,酒の存在しないファンタジーなんてこの世に存在しませんよ……とも言い切れないのではないかと,私は思います.

とにかく魔法というものは便利なもので,アルコールの代わりも出来てしまいます.

例えば意識を混濁させる魔法や,気分を高揚させる魔法.

これらを"薬"として水の中に混ぜ込んだらどうでしょうか.

魔法のアルコールの完成です.

いや,魔薬と言うべきでしょうか.(おい)

地球の文明史では,アルコールの発見は偶然の産物です.

きっと異世界においても偶然にアルコールが発見されることでしょう.

しかし代用品があるのであれば,醸造や蒸溜のプロセスを踏まなければならないアルコールをわざわざ常飲する必要もありません.

アルコールは,魔法薬学や錬金術の"材料"として扱われるのが自然なはずです.

ともあれこのようにお酒が飲まれないファンタジー世界を想像してみたのですが,予想以上に味気がなさそうな気もします.

剣と魔法のファンタジーにおいては,冒険者は酒場にたむろするのです.

集会所や食堂ではなく,酒場に集まるのです.

日本では犯罪の未成年飲酒も,ファンタジー世界なら許されるのです.

童顔で身長が140cmにも満たない女の子が,カウンター席に座っていっちょ前にワインを嗜むのです.

これがファンタジーなのです!!

中世ヨーロッパベースでお酒を考えると,やはり酒場では樽にお酒が入っているものです.

しかし当時のガバガバ樽はかなり空気を通すので,ワインはすぐに酸化してしまいます.

がっつりと酸化したワインは正直,まったく美味しくないです.

だから当時の人々はショウガやハチミツを入れて味をごまかしていたのです.

胡椒などの香辛料を入れたり,ときにはハーブを入れて薬酒にすることもありました.

またドギツい味なので,水やお湯で割って飲むことも一般的でした.

現代ではワインを割って飲む人は少ないと思います.(正直,割ると美味しくないですし)

ではファンタジー世界のワインは,中世と同様にワインは酸化していたのでしょうか?

私の答えはNOです.

ワインづくりが発達した地域では,きっと王家や皇室に献上する高級ワインを作るために,様々な努力がなされていたことでしょう.

中世ではビンが存在しなかったため,献上品であってもワインは酸化し放題でした.

しかし魔法があれば,密閉率の高い樽を作り出すことも可能でしょう.

ワインを酸化させずに国王のもとに届ける.

国王はきっと,その素晴らしい技術を広めてくれることでしょう.

またこうした最上級ワインを護送するような依頼も舞い降りて来そうです.

樽一つで人が買えるなら,ワインは盗賊たちの格好の餌食です.

他にも国境を越えて密輸するなど,公には頼めないようなシチュエーションも考えられます.

逆に盗む側になってみるというのも面白いですね.

こんなときに,冒険者へ依頼が来るのです.

もちろん,報酬はその極上ワインです.

「おい,今度の依頼,聞いたか?」

「ああ,○○村の……"アレ",だろ……?」

「へっ……俺たちは運が良いぜ……なにせ今回のは10年モノだって聞いてるんだからよ」

「ええっ!? マジかよ!!」

「しっ! ……声がデケェって」

「ワリィな,へへ……つい興奮しちまってよ」

まさにファンタジーな酒場のワンシーンですよね.

お酒のために身を張るのは,現実でも異世界でも,きっと変わらないことなのでしょう.

私はそう信じます.